内視鏡検査とは何か
内視鏡の歴史
まずは内視鏡の歴史を見ていきましょう。1868年に医師のクスマウルによって世界で初めて生きている人間の胃の中を見る胃鏡が作られました。このころはまだまっすぐな形状で、金属管に光を送って内部を見るというものでした。そして1879年にエジソンによって白熱電球が発明され、小型化が進んだことで電球も内視鏡に使用されるようになり、1932年にはシンドラーという医師によって先端部分が曲がる形状の軟性鏡が作られました。日本では1950年に医師の宇治達郎と光学メーカーの技師によって新型の胃カメラが開発され、それまで飲み込むのに大きな苦痛を伴った胃カメラの負担が大幅に減り、急速に普及していきました。加えて、白黒だった写真がカラーになったことでより正確に体内の状態を確認することができるようになりました。さらに技術が進み、1960年代にはグラスファイバーを使ったファイバースコープが登場しました。ファイバースコープは曲げることが容易で光を減退させずに伝えることができるため、爆発的な普及をしました。
そして現在では直径を限界まで短くした血管用のファイバースコープなどもあります。また、ビデオカメラが組み込まれた通称ビデオスコープも開発され、内部の画像を複数人で見ることができるほか、肉眼では確認できない部分を画像処理によって知ることができるようにまでなりました。
内視鏡検査を行う場所
最初は内部を見ることしかできなかった内視鏡も、今では内腔面の粘膜の一部を取り、細胞に異常がないかを確認するための検査を行ったり、悪性の部分をそのまま切除することができるようになりました。がん検査やがんの切除、ポリープの切除以外にも、止血処理や胆石の除去など、様々な治療を行うことができます。
そして、この内視鏡を扱って検査や治療をする部署が内視鏡室になります。病院によっては内視鏡外来と呼ぶこともあります。内視鏡は特にがんの早期発見に対する役割が大きく需要が高まってきており、病院だけではなく個人経営のクリニックなどでも内視鏡設備を設置しているところが増えています。検査内容は医療機関ごとに大きな違いはありません。しかし、胃ろう造設や胆管のステント留置などは、行っているところもあればそうでないところもあるので、治療範囲は医療機関の規模によって異なってきます。そのため、職場ごとに業務内容も違ってくるでしょう。
ちなみに、4年ほど前に行われた調査では、内視鏡下消化管手術を行っている施設は2790あり、7万件を超える手術が行われているというデータが出ています。